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Blow Brush ~ MASHROOMのブラシたち ~

若い頃はデンマンブラシとスケルトンブラシのどちらかがメインで、ローリングブラシを使うことは殆どありませんでした。お客様の日常に寄り添うように、と思うとサロンで最後の仕上げにブロウをする、ということは、カットスタイルであろうがパーマスタイルであろうが、はたまたストレートスタイルであろうがお客様自身が日常的にブロウをしない方であるとすれば、サロンでのブロウ仕上げは完全な「非日常」であり、ご自身で毎日やらないであろう事をしてさしあげることになる為、以前の私はほとんどがハンドブロー仕上げになっていたのでした。ともあれ、デンマンブラシ(写真 白のドーム状ブラシ)やスケルトンブラシ(写真 中央右 黒の骨状のブラシ)にしても、普段からお客様が日常的に使うのか、というと、、、答えは「否」であり、かと言ってお客様としては美容室にいる間はいつもに無い「非日常」も少しは味わいたいのではないか、とも思うのです。

 

私が美容師のアシスタントだった頃は美容室でしかシャンプーをしない、というお客様が一定数はいらした時代でした。毎日シャンプーすることが当たり前になって来、地肌からブラッシングをする、といった行為や髪を美容室でアップスタイルにする、といったことが少なくなり、カーラーで巻く方やブロウする方も少なくなってヘアスタイルもショートに近い短いスタイルが好まれるようになりました。私もしばらくの間美容師としての仕事から離れていたことがあるのですが、自身も元々ブロウという行為を初めから全くしていません。ストレートスタイルから万年パーマスタイルになった今もずっと、です。ではMUSHROOMではお客様にブラシを使った仕上げはするのか。答えは「はい」、部分的にではありますがブラシを使います。写真でいうと主に真ん中の黒いロールブラシがメインで、時々スケルトンブラシを使う、といった感じが現在のMUSHROOMの定番であります。ドライの大半をハンドブローのレクチャーをしながら進めるのですが、毛量の多いお客様に関してはハンドブローだけだとトップや顔の周りの髪が乾かないことが多いのです。そこでメインのロールブラシが登場する訳ですが、実はこのローリングブラシ、ブラシの中が空洞化していてドライヤーの風が中を通るようになっているんです。温風とはいえブラシで髪をすくいあて続けると通常はブラシ全体に熱がこもるため髪は温まるのですが、かといってそれがすばやい髪の乾きにつながる訳ではないのです。そして時にはそれが髪が傷む原因にもなりうる。でも中が空洞化しているブラシはというと、風がブラシを抜けるため髪とブラシで熱をため込むことがなく、温風→ブラシ→髪→ブラシ→髪、、、とブロウの工程を続けることで熱がこもらずに早く髪が乾き、そして艶もでてまとまりもよくなります。これは前職場にいた際に考えて、試して、たどり着いた仕上げのスタイルになりますが、美容師も職人なのでやり方は人それぞれ。このロールブラシは前の職場では私しか使っていませんでした。ナイロンと毛のバランスも絶妙で、おろしたてのブラシでも毛が硬くて使いづらい、といったことは全くありません。今や私の片腕となったブラシちゃんについてですが、特にロングヘアーの方には向いているブラシかと思います。詳細が気になる方については来店の際にお気軽におたずねくださいませ。