Column

傲慢と善良 ~ 辻村深月 ~

MUSHROOMがある富山市大沢野の行政施設が複合施設として新築され、4月から利用できる!と知り、新

 

しくなった図書館へと早速行ってきました。

 

本は常に何かしら読んでいるマキタでありますが、通りがかりにふらっと入った為、見学のつもりが久しく

 

小説を読んでいなかったせいもあってか、ついテンションが上がってしまいまして3冊も本を借りてしまい

 

ました。

 

作者ごとに並んでいる棚を順に閲覧していると、並んでいる本の数は多く感じないのですが、新館だからか

 

まだ誰にも読まれていない本が思いのほか数があって、その新しい本の中から別々の作家さんの小説を3冊

 

借りたのでした。

 

その中でも本のタイトルと作者に惹かれたのが、辻村深月の「傲慢と善良」。

 

400ページ超えの大作ですが、突如いなくなってしまった婚約者を探しながら主人公が感じる想いや関わ

 

る人達の言葉や態度の裏にある思惑を表現する文章力が凄すぎて、ストーリーの続きを知りたいというより

 

は主人公の過去・現在の気持ちの変化の表現に唸りたい!という、読みたい心理の中では初めての体験をこ

 

の本ではさせていただきました。

 

以前長女の通う学校の図書室に同作者の「かがみの孤城」のポスターが貼ってあり、昨年映画化されたタイ

 

ミングでまた注目の図書として貼ってあったのですが、その際に日本テレビの水卜アナウンサーが辻村さん

 

にインタビューされていて「学生が主人公の作品で、こんなにも読む大人が主人公になったように気持ちや

 

感情にタイムスリップ出来るなんて、どうやったら書けるんですか?」みたいなことを言っておられたんで

 

す。

 

その意味がようやく分かったような気がして嬉しかったのは言うまでもないですが、辻村深月という人の世

 

界観が、性別や年齢が違っても自分が体験しているかの如く読み手に表現されていて、一気にファンになっ

 

たマキタでありました。

 

平生はビジネス書や自己啓発書の類を好むマキタですが、「傲慢~」は全ての人に起こり得る日常の中のコ

 

コロの移り変わりが文章の力で体験できるので、是非おすすめしたい一冊です。